• 新聞報道1.朝日新聞  1999年10月19日 朝刊
  •     2.読売新聞  1999年10月19日 朝刊 
  •     3.神奈川新聞1999年10月19日 朝刊 
  • NHKニュース 関連報道: 1999年10月20日PM6:00〜

  • 環境の保全と、 生息する貴重種の保護についての申し入れ書
    愛川町相馬町長殿
    1999年9月30日
    あいかわ自然ネットワーク
    代表 亀田 肇
    (連絡窓口・事務局 大木悦子
    愛川町中津6205・電話 284-2121)

    八菅山・尾山耕地周辺のすばらしい自然環境の保全と、 生息する貴重種の保護についての申し入れ書


     山や野辺に日増しに秋の気配の深まりが感じられる今日この頃、日頃の自然保護への行政配慮を心強く感じております。
     私達は先頃、愛川町教育委員会発行の愛川町郷土博物館展示基礎調査会報告集・第8集「愛川町の動物」の中に、八菅山・尾山耕地に町だけでなく県としても貴重な生物が生息し、その地域の水田、休耕田が減少しないよう強く望むとの提言がなされている事を知りました。

     あいかわ自然ネットワークとして観測会を開き、「愛川町の動物」の昆虫担当者高桑さんの案内のもと、昔ながらの多様な環境が残り、その中でこそ生き残ってきた貴重な生物たちに出会い、とても感動しました。
     この感動を子供達にも伝えたい。自然の中で様々な命と出会う事から、子供達の感性が育まれ、自分と他者との命の存在を深く考える事につながっていく、そんな環境学習の場として是非残してほしいとの思いを強くしました。

     愛川町環境基本計画素案の中にも、八菅山の希少生物生息地域として保全する計画があり、とてもうれしく思います。この計画を是非、住民参画でプランづくり、事業化へとすすめていただきたいと願っています。

     ただ心配な点が、町道・幣山・下平線の計画です。緑豊かに憩いと遊びの場となっている中津川のすぐ上の山林斜面に陸橋がかかり、尾山耕地の中を抜け、八菅橋のたもとのこんもりとした木立や池を消し去って出来ると聞いています。

     町の環境基本計画素案にあるように、時代はモータリゼーションから脱車社会へと移り変わろうとしています。渋滞解消を道路の新設によるのは古い手法と言え、パークアンドライドや公共交通の整備、自転車利用の普及など諸々の解決方法が大気汚染を減らし、地球温暖化防止にもつながる事になります。
     環境保全と交通問題の解決方策につして、多くの意見を出し合い、合意形成を図るプロセスを果敢にすすめて頂けるものと期待しております。

     私達も主体的にこの課題に取り組み、行政とのパートナーシップの実現にむけ努力してまいります。
     10月下旬には要望書というかたちで持って参る予定でおります。話し合いの場を設けて頂きますよう宜しくお願い致します。

     以上、先人の残してくれた自然の豊かさは、今の人々にとってにもかけがえのない憩いと幸せ、喜びと恵みを与えてくれる大切なものである事をかみしめ、後世の人々にも、この財産を残せるよう格段の配慮をお願い致します。
     



    環境保全要望書 1999年10月18日提出

    1999年10月18日
    愛川町相馬町長殿
    あいかわ自然ネットワーク
       代表  亀田 肇      
        
    八菅山・尾山耕地に残された貴重な自然環境の保護・保全と、そこに生息する貴重種の保護についての要望書


     時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
    日頃より自然保護に関して、ご理解をいただき、ご協力誠にありがとうございます。さて、愛川町では博物館建設のための基礎資料を得る目的として、「町郷土博物館展示基礎調査」を1993年から1995年の2年間において実施した経緯があります。その昆虫部門の調査で、貴重種が愛川町全域において19種類確認されました。確認された19種の貴重種は、ご存じのとおり、県立生命の星・地球博物館の「神奈川県レッドデータ生物調査報告書」では絶滅危惧種としてリストアップされています。なかでも、尾山耕地では、博物館展示基礎調査で確認されたオグラヒラタゴミムシ(オサムシ科)やモートンイトトンボ(イトトンボ科)、コオイムシ(コオイムシ科)等確認されています。なかでも9月12(日)に、あいかわ自然ネットワーク主催の観察会で確認されたハネナガイナゴ(イナゴ科)等を含む貴重種が観察され、県内2カ所目の発見例や県内初記録等、愛川町でしか観察されない貴重種も少なくありません。この尾山耕地に道路計画「町道:幣山・下平線」は問題の水田地帯を含む約l.6km が未着工で、2010年度の完成予定と、朝日新聞(平成11年9月12日)に記載されています。貴重種にたいしての具体的な保護対策及び尾山耕地の自然に配慮した保全対策をしていただくよう、下記のような対応をとられることを要望いたします。

    1.尾山耕地に残された貴重な自然環境の保護・保全に対して、住民の合意形成に向けた場を設けて下さい。

    2.事前の情報公開を行ってください。
     

    平成10年の4月1日から施行されています環境基本条例の第12条のなかで、町は、環境の保全に関する施策に、町民等の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるよう努める、と明確に条例本文で述べております。事業に関する今までの経緯や事業内容、規模等、事業の概要や自然に配慮した道路計画等、町民に対し、情報の公開をお願いします。
    3.貴重種を含む生態系調査を行ってください。
    尾山耕地内の保護に必要なエリアの抽出を行うことが重要だと考えられます。
    4.調査の結果に基づいて、町が位置づけいてる保全プランをビオトープ(野生生物の生息空間)として位置づけて下さい。

    5.調査の結果に基づいて、道路計面の見直しを行ってください。>

    6.環境教育の活用の場として位置づけてください。

    水田や休耕田の自然環境のなかで、子供たちを対象とした農業体験の場の必要性や耕地の大切さを伝え、農業の体験や自然体験を行える場として位置づけることが重要だと考えられます。
    7.環境教育委員会の設置を行ってください。
    先の環境基本条例第4章第19条のなかで、環境基本法の第44条の規定に基づき、環境の保全に関する基本的事項等を調査審議するため、愛川町環境審議会を置くと、本文で述べております。今回の尾山耕地の道路計画間題に対して町が設置する環境蕃議会とは別に、尾山耕地の自然環境保全問題(要望書の本文)を審議して頂きたいと願っています。つきましては、審議委員会の構成メンバーの選出は、公平な立場から、町民、学識経験者、環境NGOの方々から組織されることを強く望みます。つきましては、こちらから具体的に侯補者を提案したいと考えています。
    8.上記の結論が出るまで、道路工事については中断してください。
    このような貴重な野生生物の保護や自然環境の教育に特別のご配慮を下さるよう重ねてお願い致します。
             以上
    −1−

     
    愛川町相馬町長殿
    1999年10月18日 
    あいかわ自然ネットワーク
    代表 亀田 肇  
     本日、提出致しました要望書について検討いただき、回答を文書にていただけるようお願いいたします。回答についての説明と話し合いの場を日程調整の上、1ヶ月程の間に設定して頂けるようお願い致します。   

     又、(仮称)八菅山・尾山の自然環境を学び・歩く会 を11月21日又は23日に予定しております。  当日は町の環境課、道路課、そして教育委員会の方々にも御参加頂き、環境基本計画(素案)にあるこの地域の保全計画と、道路計画、環境教育(田んぼの学校、ビオトープなど)・地域文化、環境に関する生涯学習やエコロジーミュージアム、農業と環境など様々な視点から、この地域の将来ひいては愛川町の環境についてを考える町民、行政、事業者等の協働をめざした企画として取り組みたいと考えております。 

     詳細の打ち合わせについては、後日、企画書(案)を持って参りますので御検討下さいますようよろしくお願い申し上げます。 

    連絡窓口、事務局 大木悦子
    愛川町中津6205 TEL/FAX 046-284-2121
    −2−



    ▼町からの回答文書 平成11年12月1日
    「あいかわ自然ネットワーク」からの要望事項に対する回答
    平成11年12月1日
    要 望 内 容
     回 答 内 容
    1.尾山耕地に残された貴重な自然環境の保護・保全に対して、住民の合意形成に向けた場を設けてください。  総合計画、都市マスタープランへの位置付けがされているもので、特に総合計画、都市マスタープランの策定時町民の皆様の意見や総合計画審議会、議会の賛同をいただきながら整備計画を作成した経緯もありますので、町民皆様には、本路線の必要性をご認識をいただいているものと考えております。

     また、このような事業において、計面を実施するためには、直接影響を受ける地権者の方々の御理解をいただくことが必要不可欠でありますが、先般実施いたしました事業説明会でも、地権者のほとんどの方々のご賛同をいただいているところであります。
     

    2.事業の情報公開を行ってください。  情報公開につきましては、公文書公開条例に基づき情報提供をいたします。また、町広報紙などにより一般町民の方々にも周知いたします。
    3.貴重種を含む生態系調査を行ってください。  貴重種を含む尾山耕地の生態系調査は、「神奈川県レッドデータ生物調査報告響」を企画した神奈川県に依頼して参ります。同報告書で絶滅種として扱われたオグラヒラタゴミムシについては、町でも独自に尾山耕地での分布調査を行います。
    4.調査の結果に基づいて、町が位置付けている保全プランをビオトープ(野生生物の生息空間)として位置付けてください。  ビオトープの位置付けにつきましては、町独自の判断により実施できるものではなく、地権者、耕作者、地元水利組合の意見を聞くことはもとより、当該地区が、農業振興地域の農用地区域であることから、原則として農地以外の利用は制限されており、これの位置付けにつきましては、因難であると思われます。
    5.調査の結果に基づいて、道路計面の見直しを行ってください。  道路線形につきましては、過去において地権者の方々と協議の中でご理解をいただき決定された線形でありますので、見直しをする考えはありません。その中で、第1工区におきましては、すでに環境に配慮した工法を取り入れておりますし、第2工区、第3工区におきましても、同様に環境に配慮した工法の導入について今後とも検討したいと考えております。
    6.環境教育の活用の場として位置付けてください。  中津小学校をはじめ、多くの小学校では、既に水田等を環境教育に根ざした体験的な学習州の場として位置付け、教育活動を展開しております。新教育課程等の趣旨を踏まえ、これらの地域素材を学習材化した教育活動は、今後も継続・発展していくものと考えております。
    7.環境審議会の設置を行ってください。  町環境審議会のメンバーは、幅広い分野から選出されており、その中でご審議をいただきたいと考えておりますので、新たに個別の委員会を設置する考えはありません。
    8.上記の結果が出るまで、道路工事については、中断してください。  当面、用地交渉等に長期間を要すると思われますし、又、工事着手については、平成15年年以降になる予定でありますので、その間に協議をしてまいりたいと思います。




    自然環境保全と、貴重種の保護についての再要望書
    平成12年3月

     愛川町 相馬町長殿

    八菅山や尾山耕地に残された貴重な自然環境の保護・保全と、そこに生息する貴重種の保護についての再要望書

       
    時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
    昨年10月に要望いたしました尾山耕地と周辺道路計画に関して、平成11年11月30日付けでご回答頂きました。数々のご配慮に感謝いたします。
    当区域の貴重な自然の保全と、野生生物たちとの共生ある空間領域の創造と維持が、町環境基本計画にもある「緑水環境都市」の大切な視点と考えます。また、将来の世代にこれらを良好な状態で引き継ぐことが、今の私たちに課せられた責務と考えます。この様な観点で今後予想される事項等に関して、重ねて要望いたします。

    1.道路計画の推進について
      計画に際しては、周辺環境への負荷を最小限に止め、その影響に充分なる配慮を頂きたく存じます。
      また、本件に関して、住民の合意は確認済みとの御見解でありますが、本計画の長期に及ぶ点に立脚し、住民のニーズや意向の変化や時代の動向等に鑑み、今日の折々の決定が将来にあって禍根とならぬよう、充分なる行政当局の善処を希望致します。
      更に、今後の同計画進行にあたっては、しかるべき審議機関等で公開討議されますように要望いたします。

    2.生態系の調査に関して
      八菅山及び尾山耕地周辺の生態系の調査につき、県にも依頼し、また町独自でも実施される旨の御回答を頂き、大変喜ばしきものと存じます。
      それにつきましては、調査と共に、事業計画及び環境に配慮した工夫が科学的客観的根拠に基づき評価され、周知・討議されることが不可欠になってきております。さらに、生態系調査の結果と住民意見を事業に反映するために、目的にそった具体的手法や保全対策・環境影響評価に準ずる調査概要の策定など、国の環境影響評価法の理念を地域環境保全にも生かす施策を期待しております。
      以上の理由から、調査に当たり、その対象となる区域や、動物種及び植生等の調査内容と目的などについて、御検討の上、御開示頂きたく希望致します。
      また、その日程、どの様な進め方になるのか、併せて御開示頂けますよう要望いたします。

    3.「緑水環境都市あいかわ」の“まちづくり戦略”の核の一つとして、周辺一帯の保全を位置づける提案について
      愛川町の環境基本計画が標榜する「緑水環境都市あいかわ」の実現の為にも、周辺地域をビオトープ(野生生物生息空間)として良好な状態に復元し、保全をすすめてください。環境基本計画の“「やすらぎのあるまち」の水辺環境の保全・整備・行政の環境施策と行動”の中に、「水辺ビオトープとしての水田水系の復元・整備・活用」が掲げられております。
      具体的には、八菅山と尾山耕地際の水路への水流の復元を図って頂き、また点在する休耕田のうち、残す所を選び、又集約を進めるなど、自然の生物生息域を良好な状態で維持する施策と行動は行政の行動計画の一つとなります。
      先の御回答で当区域は農業振興地区につき、農地以外の利用は考えられぬとの御見解ですが、すでに農業基本法も一部改正され、野生生物の保護・保全が盛り込まれております。そのような時代の変化に伴い、視点を変えて頂き、町の方針で公有地又、借地として保全し、将来の愛川町のまちづくりの戦略として捉えて御検討頂きたく御提案申し上げます。

    以上    
     



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