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2007/5/22(火)17:35 - おおきえつこ - (301 アクセス)
バリカン
いなかには床屋さんも、お菓子屋さんもありません。だから僕は小さい時、お菓子などほとんど食べた事がありません。お父さんは遠い隣り村へおつかいに行った時、お菓子を買って来て茶壷の中にしまい高い棚の上におきました。
僕はお父さんにバリカンで頭を刈ってもらいます。お父さんは器用なわりに、頭を刈るのが下手で、頭にバリカンをこすりつけるようにして刈るので痛くてたまりません。隣りのおじさんに刈ってもらうと痛くないのに、お父さんだと僕は泣き出したり、半刈りのまま逃げたりしました。しまいには、お父さんがバリカンの箱を持ち出すと、遠くへ逃げてしまって、お父さんのそばへ寄りつきません。
するとお父さんは高い棚から、お菓子の入っている大きな茶壷をおろして、とてもおもしろいおどけた格好をして、中をのぞいたり、お菓子を食べるまねをしたりして見せびらかします。僕はお菓子が欲しくなり、とんで行ってお父さんの足にからみつき、お菓子をねだります。そしてお菓子に釣られて痛いのを一生懸命がまんして、頭を刈ってもらいました。ごほうびにもらったお菓子はお茶の香りがすっかり染み込んでいてとてもおいしいと思いました。
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