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2007/7/17(火)17:11 - おおきえつこ - 4873 hit(s)
蛇を殺す
下の街道の東のはずれの山すそにお山王様が祭ってありました。切り立ったような松山に急な高い石段があって登りつめると、やしろの中に子供の背丈位の石像とほこらが五つ程祭ってありました。そして近所の五、六年生の小学生が、日曜日毎に朝ほうきを持って集まり境内を掃除しました。
その頃の人達は皆信仰心が厚かったのか、村の集落毎に氏神様を祭り、あちこちに水神様や、道祖神(そへのかみ)、お地蔵様などがあり、道ばたの神様にだれかがあげたお供物がよくありました。家には大神宮、仏だん、水神様や荒神様などを祭り、人が悪い事をすると、障(さえ)の神様がばちを当てるといい聞かされていて、幼い子供の心の中にしっかり焼きついていたようです。
ある日、仲のよい友達とお山王様の松山で遊んでいた時、石段の下の道路に面した石垣に、しま蛇がはってきました。「しま蛇だぞ、毒を持っているから殺しちまえ!!」石垣の穴に半分入り込んだ蛇を、皆で棒でつっついたり石をぶっつけたりしました。すると白い液を石垣にたらたら流して死んでしまいました。
僕は殺してしまってから急に可哀相なことをしたと後悔しました。そして神様の前で殺したといういやな思いが心に焼きつき、七十年もたった今でもその時の光景をはっきり思い出します。
神様といえば、三軒家に住んでいた頃、お父さんが水汲みに行っていた梅沢の谷間の湧水の水場に、夏の暑い日、畑仕事の手伝いをしていてのどが渇いたので、水を飲みに降りて行きました。すると井戸の石垣の巣から出て来たらしい大きなうなぎが三、四匹水底に長々と寝そべっていました。こんなうなぎが川にでもいたら大変、大急ぎで捕えるのですが、この井戸の上に小さな水神様が祭ってあり、澄んだ清水がコンコンと湧き出していて、近所の人達の大切な飲み水で、何か神々しくてうなぎをとる事など思いもよりません。うなぎは井戸の主のように思えて、遠慮しながらそっと水を飲んで帰りました。
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