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2007/7/28(土)15:42 - おおきえつこ - 5443 hit(s)
養蚕 <img src="https://aikawasizen.net/cgi-topics/img/40-1.jpg">
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大正から昭和のはじめ頃、村の人達は米や麦もつくりましたが、蚕を飼って生糸(きいと)をつくり、それを売って大きな収入としました。どこの家でも蚕を飼ったので、村中が桑畑でうずまっていると言っても良い程桑畑が沢山ありました。
そして蚕が育ち桑を沢山食べるようになると、村中が目が回る程忙しくなり、どこの家でも働ける者は全部で力を合わせ、小さい子供まで一生懸命お手伝いをしました。
家の中は蚕で一杯になり屋根裏まで蚕棚をつくり、蚕の事をおこ様とよんで大事にしました。家中蚕で寝る場所がなくなり、蚕棚の狭い間や部屋のすみっこに小さくなって寝ました。夜など静かになると、蚕が桑を食う音がザワザワと、小雨が降っているように家中に広がりました。
蚕の白かった体が少し黄色味をおびて透きとおるようになると桑を食べなくなり、葉や枝の上にあがって頭をぐるぐるとまわすようになります。「おこ様がひきたよ」と、皆ひき拾いをします。頭をふっている蚕を手でつまみあげては手の平にのせ、えがの上に菰(こも)を敷きその上に縄の網をのせその上に蚕をバラまくように放して、蚕の上にまぶしをそっとひろげておきます。するとまぶしのすきまにはいあがって、口から糸を吐きながら自分の体を囲うように糸で繭を作り、繭の中でさなぎになります。
繭が出来あがるとまぶしから繭をかき取ります。繭かきと言いました。繭はそのままにしておくと、中のさなぎが蛾にう化して繭を破って外に出て来ます。繭に穴があいてしまうと生糸にならなくなります。ですから中のさなぎが蛾にならないうちに、高い熱で繭を乾燥してさなぎを殺さなければなりません。
村にこの繭を乾燥する乾燥場という工場が二軒あり、僕の兄さんがその内の一軒の乾燥場を持っていました。村中でとれた繭がこの二軒の工場に集められ乾燥されました。僕は三年生位より学校から帰るとずっとこの工場の釜たきをしました。乾燥室の温度計がさがると大変です。温度がさがらないように火を燃やすのは大変でした。
乾燥のすんだ繭は、鍋で煮ながら糸取り機で小枠というものに巻きとります。繭を煮ながら小さな手箒で繭をさっとなでると糸がからみつきます。その糸はとても細いので三、四本からみ合わせて一本の糸にし、小枠に巻き取ります。そしてあげ場という工場で小枠から上げ枠に巻きかえながら、小枠の糸を三、四本からみ合わせ、糸の切れたところをつなぎ合わせます。それから撚(よ)り糸工場に持っていって糸を撚ってもらいますが、糸の使い道によって、つまり、ちりめんにするか羽二重、帯地等々様々な絹織物の用途により、撚りを強くしたり弱くしたり、撚り合わせる糸の数を多くしたり少なくしたりして何種類もの仕上げ方をしてもらって商品にしました。
また屑繭(穴のあいたものや染みのついた繭)は鍋で煮て湯水につけた繭を指先で引きちぎるように伸ばし、板の四隅に立てた釘にひっかけて広げると、綿のようにフカフカしたものが出来ます。それを釘からはずして縄につるして天日で干すと、良質の真綿になりました。
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