〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了〕
2007/8/14(火)18:26 - おおきえつこ - 4603 hit(s)
しょう油搾り
山ん根からしょう油搾(しぼ)りの道具が届いて庭一杯に並べられました。一メートル立方位の木製の搾り機で大きな釜が二つ、もろみ入りの四斗樽やもろみを入れる麻袋、かめやバケツ、ひしゃく等々、それに山ん根から手伝いに来たおじさん、今日、しょう油搾りが始まり、うちの庭は大にぎわいです。据えつけられた大釜の一つに昨日から水に漬けて柔らかくなった大豆が一杯入れてあり、もう一つの釜には水が一杯はられ、僕がその釜の火もしをします。
一年間毎日掻き混ぜて発酵させてドロドロになったもろみを、樽から掬(すく)いだして何枚もの麻袋に流し込み、搾り機の中に重ねて積みあげます。すると自然に麻袋で漉されたもろみの液が、搾り機の下の方にあけてある小さな穴からすばらしい香りを出しながら、トロトロと流れ出します。下にかめを置いてこれを受け、かめにたまった何杯もの液を、大釜に入れて煮立てるとしょう油の出来あがりです。
麻袋を積みあげて自然に流れ出したものを一番搾りとか「キアゲ」とも言って、味、香りも極上品です。自然に液が出なくなると、麻袋の上におし蓋をのせてその上に重しをのせ、その上に絵のように長い丸太を梃にして丸太の先に石をつるし、その石をだんだん重くして麻袋を強くしめつけて搾ります。そしておしても液が出なくなると、今度は麻袋の中に熱い湯を少し流しこみ、またおもしの梃でおし搾って取ったものを三番搾りといい、二番よりさらに味が落ちて、よくまずい料理を食べさせられると「何だ三番しょう油で煮たのか?」と、悪口を言いました。しょう油をすっかり搾ってしまって袋に残ったもろみはしょう油カスとして家畜の餌にしました。
搾り機から液がかめにしたたり落ちる時、かめの中に泡がぶくっと立ち、その泡を掬って他のかめに移します。泡にねばりがあってなかなかつぶれません。かめに一杯になった泡の中に大根を輪切りにして入れておくとおいしい泡漬が出来、皆昼食になると、「うめえ!! うめえ!!」と言って食べました。
僕が火もしをしている大釜の大豆が、煮えたかどうか午後になって見に来た兄さんが、大豆を掬いあげて「うん大分(でえぶ)煮えたなあ、うめエぞ、ほれ」と、僕の手にのせてくれました。朝からずっと火もしをして煮たので、すっかり柔らかくふっくらとしてとてもおいしく、僕も思わず「うんめえ」と叫んで食べ、自分で時々釜から掬いだしてはほおばりました。この豆は麹と混ぜて味噌を作るのに使いました。
〔ツリー構成〕
└ No.125 画文集から 芋洗い 2007/2/5(月)00:06 おおき えつこ (1921) |
└ No.126 画文集から 川木拾い 2007/2/5(月)10:28 おおき えつこ (820) |
└ No.131 画文集から 遊び道具 2007/2/27(火)01:05 おおきえつこ (1541) |
└ No.133 画文集から 遊び相手 2007/3/11(日)01:05 おおきえつこ (1089) |
└ No.135 画文集から 留守番 2007/3/12(月)10:24 おおきえつこ (1018) |
〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了〕
※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.
|