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「かながわの宝もの」 地帯に生息する昆虫類の保全に関する研究 報告書 (HTML化作業中B版)
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2002年(財)イオン環境財団助成事業 報告書

  「神奈川県・愛川町の尾山耕地における昆虫類の保全に関する研究」

                         2003年 5月

                      あいかわ自然ネットワーク


資料

尾山耕地内の農道整備位置図(H15年度工事予定)
尾山耕地内の町道計画位置図
調査対象種の解説文
参考文献
写真 調査地域及び外観
         調査風景
        希少種の生息確認写真  
      *感想文
 
 
調査対象種の解説文

 

 モートンイトトンボ   Mortonagrion selenion 


「全国分布」

 国内では北海道南端から本州、四国をへて九州南部の大隅半島、薩摩半島にいたる各地に生息するが、青森県および四国・九州では産地が局地化している。国外では朝鮮半島から中国南部、沿海州に分布している。


「生息環境」

 おもに平地および丘陵地の湿地の背丈の低い草が繁茂した浅い滞水や水田などに生息している。ときにはかなり標高の高い湿原にもみられ、2300mの高地(八ヶ岳)でも確認されている。


「形態」

 雌雄とも体の大きさは同大で、腹長18〜24?、後長11〜17?。雄は体の前半が黄緑色の地に黒班がある。眼後紋が孤状をしているので一目で他種と区別できる。成熟しても粉をまとわない。
 雌は羽化したばかりのころは全身が鮮やかなオレンジ色で無班だが、成熟するにつれて鮮緑色にかわり、腹部の背面に黒い縦条が現れる。


「尾山耕地での生息状況」

 羽化したしたばかりの未熟個体が休耕田や畦などで、草に留まったり飛翔を行うことが多く見られた。(6月11〜24日)の期間に多く集中した。成熟した個体(成虫)は6月20日〜7月21日の期間に多く観察ができた。なかでも6月30日には多くの成虫が休耕田に見られた。



 

コオイムシ    Water Bug


「全国分布」

 国内では本州、四国、九州。


「生息環境」

 浅い池や水田に生息する。成虫は5〜6月・8月に多くみられる。
主にカワニナ、タニシなどの貝類、アカムシやヤゴを食べる。孵化が近づくと卵を背負ったオスは水面に背中を出して浮かぶ。
 卵は一匹か2匹づつ孵化してくる。一匹が孵化しおわるのがちゃんとわかるようだ。
 オスは子供が孵化するたびに体を斜めにして水中に子供を落とす。


「形態」

体長20mm。


「尾山耕地での生息状況」

尾山耕地における成虫は,広い範囲に比較的多く生息していることが確認された。確認された場所の環境は,水田,休耕地をほぼ同じ割合で利用している傾向が見られた。
 一方,幼虫は成虫と同じく比較的広い範囲に生息しているのが確認された。環境は,水田と休耕地を利用している水田での確認の割合が高い傾向であった。卵の状態での確認は少なく主に八菅山の山際に見られた。





 

タマガムシ  Amphiops mater      Sharp 


「全国分布」

本州〜四国〜九州 中国、朝鮮半島 
県内にひろくすんでいたようだが、最近は松田町、横須賀市前田川、逗子市久木などからしか採集されていない。


「生息環境」

低地の池沼や湿地、水田


「形態」

3.4〜3.7mm 体は丸く暗いこげ茶色でつやがある。
上翅は8点列を備えるが基部では不明瞭となる
腹部は第2節以降が上方に直角に曲げられる
複眼は上下に2分される
中基節間は広く離れ、中脛節に長い遊泳毛がある
雌雄で明確な相違がなく、判別は困難


「尾山耕地での生息状況」

タマガムシの生息は,上流,下流側に大きく2箇所に分布してるのが確認された。なかでも下流側の水田,休耕地の環境が比較的まとまっている場所で確認された。水田,休耕地の環境を利用していたが水田での利用が顕著であった。




キベリマルクビゴミムシ   Nebria livida Linne 


「全国分布」

  国内では北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、シベリア東部、中国。
基亜種はヨーロッパからアルタイあたりまで広く分布している。
県内では、過去には小田原、箱根湖尻、松田、逗子鷹取山で記録されたが、現在は全く発見されない。
「生息環境」
 平地に多い。砂質の河川敷の水際の石の下に生息する。 


「形態」

 体長13-16.5mm。頭部は全体に黒くて複眼のあいだに一対の赤紋をそなえ、体は黒色であるが、胸と翅の縁が黄褐色。


「尾山耕地での生息状況」

キベリマルクゴミムシの生息は,5箇所と生息場所が少なく極地的な分布状況であった





 

マメハンミョウ  Epicauta gorhami MARSEUL


「全国分布」

 国内では本州、四国、九州。


「生息環境」

 草地や畑などにみられる。幼虫はイナゴ類やフキバッタ類などの卵塊に寄生、成虫は夏に出現し、種々の雑草の葉を食べる。群生することが多い。神奈川県内では低地部の各地にふつうに見られたというが、近年は減少し、最近での確実な記録は茅ヶ崎市と鶴見川の採集例だけである。


「形態」

体長12-18mm。体は黒色、光沢を欠き、頭部は橙赤色。翅に灰白色の縦すじがある。


「尾山耕地での生息状況」

マメハンミョウの生息は,4箇所と生息場所が少なく極地的な分布状況であった





 

オグラヒラタゴミムシ   Platynus ogurae (Bates)


「全国分布」

 西日本に多く、東日本ではまれに発見される程度。


「生息環境」

 湿地や水田の周りなど。その生態はよくわかっていない。


「形態」

 6.5mm.〜8mm.位で身長の背面は微細彫刻がいちじるしく、光沢が弱い。複眼下縁は口裂に接する。下唇基部の歯は短い。第5符?節下面は無刺毛。


「尾山耕地での生息状況」

 2002年度は4月から10月まで手動およびベイトトラップによる捕獲調査を実施した。以前捕獲したといわれる箇所を中心に、ベイトトラップは12ヶ所に7回、平均35個を仕掛けたが捕獲することができなかった。また、昼夜数回の手動調査においても成果をあげることができなかった




参考資料:出典
 

原色日本甲虫図鑑(2)(3)   保育社  昭和60年1月31日発行

追われる生きものたち  神奈川県立生命の星・地球博物館   1996年7月20日発行

日本産トンボ幼虫・成虫検索図説     
東海大学出版会   1998年6月10日発行

愛川町の動物:愛川町郷土博物館展示基礎調査会報告書第8集愛川町教育委員会 1999年3月31日発行

水生昆虫の世界  相模原市立博物館  平成11年7月17日発行    

かながわの自然図鑑(2)昆虫:神奈川県立生命の星・地球博物館編  有隣堂   2000年3月31日発行

ミニ雑草図鑑   全国農村教育協会  2000年5月29日改訂発行

「町道幣山下平線建設予定地に生息する貴重な昆虫類の調査と環境保全対策の提言」
―尾山耕地に生息する貴重な昆虫類について― 
横浜国立大学・環境科学研究センター (前)教授 青木淳一  平成13年1月19日


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