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2007/1/17(水)10:27 - おおきえつこ - 12352 hit(s)
画文集「三軒家むかし語り〜失われた農村と子供の原風景〜」から
(著者:諏訪部 晃 制作・発行:夢工房)
はじめに
私は太平洋戦争中、自ら進んで徴用工として飛行機工場で働き、極度の食糧不足と、昼夜を分かたぬ
激務と過労のため結核に侵され、終戦後の混乱の巷に放り出された。三十一才で結婚、長女が生まれた
とたんに入院、右肺下葉切除手術を受けたが、三年後、喀血して右肺全部を切り取った際に余病を併発
して、足かけ六年間も入院生活を強いられてしまった。
家に残して来た幼い二人の我が子の事を考えると、父親と一緒に遊んでもらえない子供が不愍(ふびん)
で、せめても自分の子供の頃の事を絵に描いてやろうと、ベッドの上でスケッチブックに絵を描き、
平仮名ばかりの文をつけて届けてやった。当時小学二年生だった長女がそれを学校に持って行ったら、
先生が紙芝居のようにして児童に読んで聞かせたという。
やっと退院して我が家に帰ったら、未だトウチャンと言えずに、私をワンワ、ワンワと呼んでいた下の
子が、小学校一年生になっていた。妻は病む私を守り二児を抱えての生活の無理が祟(たた)って過労の
ため結核で通院中だった。その時の二人の子供も、今はそれぞれ二児の親になっている。
最近、家の中を片づけていたら、押入れの隅から段ボール箱に入った子供達に送った絵と文が出て来た。
改めて見なおしてみると、単なる私の自伝でありながら、大正から昭和初期にかけて激しく移り変わっ
た農民生活の貴重な記録とも思え、人生の終盤を迎えて、古い記憶をまさぐりながらこれを補整し一冊
の本にまとめて子供達に見てもらおうと思い立った。
今その時の我が子はすっかり成人してしまっている。幼い我が子に与えるという形をとっているが、
これはあくまでも現代の子供達に見て貰いたいもので、私が意図して描いた絵の主旨をお汲み取り願う
ことにした。
1999年7月 諏訪部 晃
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