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2007/1/17(水)22:59 - おおきえつこ - (12968 アクセス)
画文集「三軒家むかし語り〜失われた農村と子供の原風景〜」から
(著者:諏訪部 晃 制作・発行:夢工房)
智盛 http://aikawasizen.net/cgi-topics/img/22-3.jpg
今日は三増(みませ)のお祭りです。お祭りにはどこの家でも、親類の人がお客に来て、一緒にご馳走
を食べてお祭りをお祝いします。お父さんの叔母さんの家が三増にあって、僕はお父さんに連れられて
お客に行きました。
みんなでご馳走を食べた後、夜になって氏神様にお参りに行きました。境内には大きなかがり火がた
かれ、夜店が出ていて村の人達で一杯でした。お参りをすませてお宮の舞台でお芝居を見ました。まだ
電気が無かったので、大きな土びんに石油を入れて注ぎ口から燈心を出して火をつけて明りにしたもの
を何個も舞台の軒に吊し、舞台の前の方に何個もランプを並べて明りにしていました。
舞台では白い着物を着て真っ黒な縄を胴に巻きつけた侍が、髪を振り乱して太い黒い柱のような棒を
かついでくるったように踊っています。すると、長い棒の先に板をつけて、その板の上に何十本ものロ
ーソクをともして、侍のそばに近づけて照らします。真っ白な顔の額から真っ赤な血が流れます。ゆら
めくローソクの光に照らされて、うす闇の中に浮かびあがった白と赤と黒の鮮やかな色の美しさ、お父
さんに抱かれて目を見張って見ていました。幼かった僕の心にこの夢のような光景が焼きついてしまい
ました。後になってこれは碇智盛(いかり とももり)の芝居の一幕と知りました。
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└ No.122 画文集「三軒家むかし語り」 智盛 2007/1/17(水)22:59 おおきえつこ (1258) |
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