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2007/1/30(火)23:36 - おおき えつこ - (13380 アクセス)
たき木取り http://aikawasizen.net/cgi-topics/img/23-1.jpg
昭和の時代になってからもこの地方では、たき木を燃やしてごはんを炊いたり、お茶
やお風呂を沸かし、冬はいろりで火を燃やして寒さを防ぎました。だからたき木がない
と一日も暮らす事が出来ませんでした。どこの家でも一年中に必要なたき木は大事にた
くわえておきました。
村の人々は冬になると薪山といって、山に入って雑木林を切り出して薪やそだを造り
ました。僕も薪山の手伝いに行きました。山に登って行くと、兄さんや父さんが太い雑
木を根本から斧や鋸(のこぎり)で切り倒します。その場で枝を鎌や鉈(なた)で払い落と
し、細い枝は一メートル位の長さに切って束ねてそだにし、太い幹は一ヵ所に集めてか
ら、鋸で四十センチ位の長さに切りそろえて束ねます。
僕は子供なので切り倒してある木の枝を払い落としたり、束ねたそだを一ヵ所に運ん
だり、薪を束ねたりしました。そだを束ねるのは力が足りなくてまださせてもらえませ
んでしたが、薪を束ねるには先に竹のたがが造ってあって、その中にそろえた薪をさし
込むのですが、堅くしめつけるにはさし込んだ薪のすきまに薪をたたき込むのです。
するとぐっとしまって崩れたりしなくなるのです。
夕方になると仕事を止めて、造った薪束やそだをやせんまにつけて背負って山をくだ
ります。山道はけわしくその上、生木のそだは重くてなかなか早く歩けません。兄さん
達はさっさと早く先に行ってしまい、どうしても遅れてとり残されそうになります。
そして、少しうす暗くなった山奥はとても気味悪くて恐い。後から何か追いかけて来る
ような、また大木の陰から何か飛びだして来そうだし、夢中で兄さん達の後を追うので
すが、くだり坂だと膝がガクガクと笑いよく歩けません。本当に夕闇の迫って来る山路
は気味悪いものでした。
薪山でおもしろいのは急な山の地肌を雨がけずり取ってくぼんだ川のような草も木も
生えない所があり、皆「あらし」と呼んでいました。このあらしを利用して薪やそだを
運びおろすのです。あまり太くない雑木を五、六本根本を縄で束ね、そりのようにして
その上に薪やそだを積み、あらしをそろそろとすべりおろすのですが、あらしは非常に
急勾配で余程注意しないとすごいスピードで落ちるようにすべります。だから子供には
とても出来ません。兄さんがソリをおろす様子を、はらはらしながら木につかまりつか
まり急な山をおりて見物しました。
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└ No.123 :画文集「三軒家むかし語り」 たき木取り 2007/1/30(火)23:36 おおき えつこ (2001) |
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