〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔終了〕
2007/5/6(日)21:54 - おおきえつこ - (13579 アクセス)
たたら踏み http://aikawasizen.net/cgi-topics/img/29-1.jpg
今ではこんな事をしてお米を搗(つ)く所はありませんが、僕が三歳か、四歳の頃はたたらふみといって、ギッタンバッタンと足の力でお米を搗きました。
お父さんの生まれた家は下蓑輪の山の根にあって、皆やまんねえと言っていました。その家はとても大きくて屋敷のまわりには石垣がめぐらされていて、小さい僕にはお城の石垣のように思えました。倉、物置、馬小屋、仕事場、堆肥小屋などが母屋(おもや)のまわりに建っていました。
裏には大きな池があり、池の向こう側に岩山のような築山があって、そてつ、どうだん、みかん、つつじ、とくさなど色々な木や草花が植えてありました。池には島があって、枝ぶりのよい松と、うす緑の苔の生えた大きな石や岩で出来ていました。池の端の方に橋が架かっていて、そこを渡って石段を登っていくと、人が住めそうなお稲荷様のほこらが建っていました。お稲荷さんの横の坂道を少し登ると清水が湧き出していて、そこからずっと屋敷の裏までわさび田が広がっていました。
今この屋敷の母屋だけ残っていますが、母屋には大人の人が陰にかくれると見えなくなる位太いけやきの柱が、何本もぴかぴか黒光りして立っていました。奥の間に戸棚があって、どういう仕掛けがあったのか、戸を開けたり閉めたりすると、カラカラカラッと乾いた音がして、その美しい音はいまでも懐かしい思い出の一つです。
僕はよくやまんねえに行きました。そして、その家は自分の家だと思い込む程、そこの家の人達はみんな僕のことを、お坊、お坊とよんで可愛がってくれました。
やまんねえにお父さんと一緒に米搗きに行って、たたらをふむお父さんのそばで遊んでいると、やまんねえのおじいさんが僕の好きな卵を沢山持って来て、お米の山の中に入れてくれました。
〔ツリー構成〕
└ No.143 画文集から たたら踏み 2007/5/6(日)21:54 おおきえつこ (1483) |
〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔終了〕
※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.
|